~*瓜の蔓に桜咲く…*~

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~*瓜の蔓に桜咲く…*~

ここはご存知、絆愛高等学校。 ……ではあるが、本校より特殊な分校也。 されど本校同様の、“漢たるもの、常に己を磨き、己の限界を超えるべし”の信念のもと、堕落しきったこの時代、真の漢(おとこ)を目指す熱き男達が、日々血と汗を流しながらも、更なる高みを目指し清廉潔白かつ豪への道を歩んでいく全寮制男子校。 一つ、人の道より漢道 二つ、褌のゆるみは漢道のゆるみ 三つ、未来永劫漢道 真の漢は一日にして成らず! 絆愛にかかわる全ての人間が、細胞の一つ一つに至るまでねっちりと刻みこみ、緩み弛んだ褌をキュッキュと締め直し、尻の穴をさらに引き締め、今日も更なる高み“霊長類の頂”を目指す。 ・褌のゆるみは男気のゆるみ ・褌の汚れは男気の汚れ(けがれ) ・褌の乱れは男気の乱れ 出典『絆愛の心構え』“褌三規範”より 今日も絆愛らしい一日が終わった――― 部活のある者は精力剤が不要な程ビンビンの興奮状態で部活へ向かう。 「ナーベーラー、もう股割りはできるようになったか?」 「ええ。咲良(サクラ)が毎晩念入りに股関節マッサージをしてくれるおかげです」 「しかし、留学を終え帰国した途端、俺と一緒の絆愛を受験するって……大旦那様や大奥様がよく承知したと今でも信じられない。しかも、未経験の相撲部に入部なんて」 ナーベーラーは『護身術は身に付けろとお祖父様に言われましたから』とクスクス笑う隣で、咲良は『護身術……か?』と首を捻る。 ナーベーラーは元某国特殊部隊所属の日系米国人ヤギ・カマドウマ・月見氏を父に、空八木(すきやき)財閥会長の一人娘だんごを母に持つ。 母が20歳の頃、滝に打たれ修行中、突如足を滑らせた山の主(大猪)が流され頭上に落ちてきた。 その時、密林で落下傘訓練中だった父が命懸けの格闘の末撃退し、その姿にだんごは一目惚れ。 その場で『月見だんごになります』とカニバサミの鬼pushで迫って気絶させ、次にヤギが目を開けるといつの間にか婿養子に入っていたらしい。 普段から考えが浅く突拍子もない娘に比べ、孫のナーベーラーは上流階級らしいユッタリさとハーフならではの可憐さを併せ持ち、祖父母自慢の孫だ。 特に祖父である会長の溺愛っぷりはすごく、捕まればプロのカメラマン撮影成長アルバムを何度も最初から見せられ、耳にタコができるほど一から話を聞かされると言う。
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