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「咲良…本校相撲部の留学生タマデッカー君覚えてますか?僕が通訳を担当した…」
「ああ。アフロヘアーで相撲部一の巨体を誇るマネージャーだったよな?」
「彼から我が校の塚ちゃん先生経由で手紙をいただいたんです。まずはペンパルになって欲しいと…」
「ペンパル?いいんじゃね?何かわからないけど…ダンベルの仲間か?」
ナーベーラーは残念そうに、重たそうな瞼を伏せた。
「ペンパルとは文通相手のことです。僕の鏡餅三段の白腹とHカップの胸が気に入ったそうで…毎晩胸に顔を埋め、男のロマンであるPFPFを楽しみたいそうです」
「ピーエフ…?」
「PAFU×2です。親密な間柄になり肌と肌を寄せあいたいそうです」
咲良はムッと口を尖らせる。
「ナーベーラーは、ヤツの南極2号になろうて言うのか?」
「僕はただ相談しているんです」
「俺達一族は空八木家に数百年前からお仕えする忍者!俺もゆくゆくは兄貴達同様にジャージ装束に身を包み、忍者として空八木家に立派にお仕えするつもりだ」
グッと拳を握りしめ咲良はナーベーラーに背を向ける。
「“主人”であるナーベーラーが、どうしようと従うだけだ。“相談”しようってことは、多少はその気があるからだろう」
「なっ…咲良」
「ダンベルになろうがパフりたかろうが、俺は後方に控えるのみだ」
そう言うとナーベーラーを残し、咲良はさっさと練習場へ向かった。
「僕は一度だって主従関係だなんて思ってないのに…咲良は僕のことそう見てたの?」
溢れそうな涙をこらえるナーベーラーの背中に、誰かが肋骨が折れそうなほど真っ赤な手形を作った。
「いっ…痛たた」
「青春ならではのいとなみねえ~♪」
「塚ちゃん先生…いらっしゃったんですか?」
ナーベーラーは顔を赤らめ俯く。
「一人の男を奪いあい♪いいわねえ~」
「奪いあいなんて…ならないですよ。僕なんて…」
「ナーベーラーは沖縄の言葉で“ヘチマ”でしょ。ぶらんと垂れさがる大きな実が風に揺れる様子が剽軽なことから、ヘチマ(糸瓜)の花言葉は剽軽なと悠々自適。名は体を表すって言うのにね」
塚ちゃん先生は目を細めナーベーラーを横目で見る。
「あなたがヘチマらしいのは股間だけね。もっと自分の欲を出して、自分らしく生きなきゃ。過剰な我慢は体に毒」
「あの…先生……南極2号って何ですか?」
「大人になればわかるわ♪」
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