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古い作りのアパート、けれど其所には沢山の住人が生活をしている。
何故、数十人が限界のこんな狭い場所に密集しているかと言えばせざるを得ない状況下だからだ。
映画やテレビだけの筈、誰もがそう考えているけれど今はどうだろうか。
この先の未来に光はある、若しくは暗い現実が待ち受けているか。どちらしか、人は歩めない。
私の名前は、柊紅葉(ヒイラギモミジ)
ウィルスから逃げ、ここ迄逃げて来たのだが結局行き着いたのはこんな見知らぬ所。
「おーい、生存者は居たか……お前は、誰だよ?」
「えっ?他に子供が居たのね、それと招待面相手に名前を訊くなら。先に名乗ってよ」
私はつっけんどんに言い返す、すると顔をしかめながらも目の前の少年は名前を名乗る。
「西井隼斗(ニシイハヤト)」
しかし何処か冷たく、眼からははっきり言って生気を感じない。冷酷な彼は直ぐ様に私の手を繋ぎ、何処かへ歩いて行く。
急にどうしたのか、訊くにも訊けずに紅葉は狼狽える事が精一杯だった。
くだらない、恐らくは強力しようとか言い出すに決まっている。
私は察していた様に、苦笑を浮かべながら半ば心中では隼斗に対し嘲笑う。
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