第一部 11章 木屋

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 夏鈴がここまで来るとは予想外で何より少し安心していた。  「そして春児、あなたはまだ気づかないのね」  足元を見ると水が集まっていた。  『設置魔法・水牢の印!』  これは夏鈴が若葉さんとやったときの!  「凍りつかせて、ってあれ?これ火魔法と合わせて熱湯にしてんのか!」  流石夏鈴、頭のキレは一番だな。  さぁてどうするかな、夏鈴だとここは直ぐ様攻撃してくるに違いない、けどどうやって、、、  「難しい技術使ってみるかな」  その瞬間に熱湯の檻は凍りつき破壊される。  「なっ!なんで凍らせれるのよ!」  夏鈴はひどく動揺している、そりゃそうだ一番無いと思っていた事が起きたのだから。  「成功したか、俺が内側に沿って水を張りそれを凍らかせる。氷に接している熱湯は凍らせれる温度まで下がったという感じだ」  実際一発でできたからよかったけど出来なかったらホントに手が出ないくらいの面倒くさい術式だ。  『反撃開始だ。ストーングレイブ!』  槍を持ち夏鈴に投げつける!  『結界魔法・水!』  俺の槍は強固で結界魔法なんかじゃふせぎはできまい!  しかし結界に当たると槍は削れて跡形もなくなってしまう。  「ありゃ?ホントに勘弁してくれよどんだけ強くなんだよ夏鈴」  夏鈴の結界魔法は水が高水圧になりすぎてなんでも切れるような強い結界になっていた。  「春児が気を失っているあいだ毎日若葉さんに訓練つけてもらってたんだからね!もう冬夜の時みたいに目の前で何も出来ずに立っているのが嫌だから!」  夏鈴、、、お前は本当にいいやつだな。  「じゃあわかった」とつぶやいて俺は右腕を前に出す。  『術式解放・壱之段!』  すると腕が黒く染まり指先は鋭く尖り始める。  「俺だって気を失っている間、身体の中で魔王とやりあってたんだ。そしてまだ腕だけの状態なら意識を保てるようになった。俺は夏鈴、お前を一人の魔法士として全身全霊をかけて戦う。冬夜の時と同じ覚悟だ!」  容赦はしない、殺す気で行く。  
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