第一部 12章 決着

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 二人は睨み合ったまま何も動かない。  「夏鈴ちゃんと春ちゃんはなんで動かないの?今の春ちゃんなら楽に勝てるんじゃないの?」  衣吹が二人をみて隣の美秋に話しかける。  「今の春児は夏鈴さんの事を好敵手として見ているのよ、冬夜くん以外の自分が認めた好敵手。さっきみたいな余計な小細工なしに二人とも大技で決めるはず。」  (流石に魔王化した春児相手では夏鈴さんは分が悪い、けど私には出来なかった本気の若葉に傷をつけたのは偶然ではなかった。この勝負本当にわからない!)  そしてその時二人は動きを見せる!  『大滝・鯉のぼり!』  先に動いたのは夏鈴のほうだった。  頭上からまるで滝が発生し大量の水が降りかかる。  『そうくるなら!イラプション!』  唱えると対立するように溶岩が噴き出して滝とぶつかり合う。  (アイツなら次の策を立ててることに違いない、どう出る設置魔法か?)  そして前を見ると夏鈴の姿が揺らいで見える。  「これは陽炎!こしゃくな!」  氷魔法で温度を下げて陽炎を止める。  陽炎がなくなった瞬間にコイツで決める、手の平に魔力を溜める。  しかし陽炎が無くなったのに目の前には夏鈴の姿は無かった。  『海神・トライデントスピア!』  「後ろか!いつの間に!」  「睨み合いの時から陽炎を薄くして滝の魔術の時にはもう背後に回っていたのよ!これで終わりよ春児!」  不意をつかれて回避する余裕がない、かといってそのままだと負ける。  夏鈴は手応えを感じたところで歩みを止めてニヤリとする。  「残念だったな夏鈴、あと少しだったのに。」  夏鈴は先端を見るとそこには魔王化した手の平で止められていた、しかも何か魔力の集合体に刺さっている。  「この瞬間に魔王化した腕を背後に、しかも的確に刺さるところに回すなんて!」  「惜しいな、魔王は魔力に敏感でな。そして夏鈴、魔力を突き刺した時点でお前の負けだ」  そう言うと魔力は光り出し。  『ユニヴァース・インパクト』  瞬間に巨大な爆発が生じ、学園長が張った結界は壊れ建物が大きく揺れる。  夏鈴はその場に倒れる。  「苗木行動不能でリタイヤ」
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