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好き嫌いも言ってられない社会人となり、せっかくの休日ながら社長の家でのバーベキューを断る者は全員なかった。
庭にはバスケットゴールがあり、茶色い毛並みが美しい大型犬が元気に走り回っている。
「日焼け止め塗った?かなり外焼けるわよ。」
先輩は少々げんなりした顔で追加の日焼け止めを塗った。
しっかり家で準備はしてきたので、ここでは塗らない。
食べ物を触るとき、クリームがどうしても気になってしまうから。
「清花くん、妻と一緒に肉を持ってきてくれるか?」
社長の頼みを笑顔で受け入れ、大量にお皿にもられたお肉を見て胸ヤケがした。
脂身が多すぎる。
1つで充分だ。
(なるべく、赤身と野菜食べよう)
と、決心し、チラチラと料理をチェックした。
「おー、ケイ遅いぞー。」
社長のご機嫌な声に思わず振り向けば、そこには中年太りと言っていい恰幅の良い女性が入室した所だった。
初めて見る顔に数人顔を傾けたが、部長など長く勤めている人は知っているらしく、肩を叩かれている。
(苦手・・もっと痩せてたらいいのに)
お腹周りや太股の太さが目立ち、どうしてもそこに目が行ってしまう。
「ケイ、お肉が焼けるまでいつもの勝負だ。今日は経験者連れてきたからな。」
「またですかー?」
「勝ち逃げはゆるさん。」
意気込みながら背中を押されたのは、同じく同期入社の男の子だった。
ヒョロッと背が高く、色白な男性。
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