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どうやら俺は家族というものに縁がないらしい。
白い布を顔に掛けられた娘の亡骸を、冷静過ぎる目で見ながら思う。
横では娘の母親であるお菊こと君菊が亡骸にすがり付くように泣いている。
死まではあっという間だった。
秋口から流行り病を貰ったかと思うと、一歳の幼子には過ぎた大病だったのか、どんどん病状は悪化し、睦月には亡くなった。
土方も幾らか気落ちした。
暫くは屯所で仕事をしていても、墨がないのに気がつかず字を書こうとしていたほどだ。
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