君を迎えにいくよ

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高校三年になった夏休み。 私は一人で旅に出る。 中学三年生のある日、引っ越して行ったあの子に逢う為に。 「いってきます!」 「ほんまに一人で大丈夫なん?」 「平気!!」 入念な下調べもした。 住所もちゃんと持った! 一人旅は初めてだったけど、あっちに行けば、君がいる。 そんな想いを胸に抱いて、家を出た。 海ちゃんが引っ越したのはおじいちゃんの持つ果樹園を、お父さんが継ぐためなんだと後から母に聞かされた。 大人の事情なら、子供は従うしかないんだなって思った。 私は大嫌いな勉強も頑張った。一人で頑張る海ちゃんに負けない様に勉強した。 文通はずっと続けていて、時が経つに連れて回数は減って行ったけど、途切れる事は一度だってなかった。 『必ず海ちゃんに会いに行くからね!!』 『うん。リクに早く会いたいな!!』 だから、高校生になって私はバイトを始めた。 母が勧めてくれた、新聞配達の仕事。 朝早く起きるのは大変だったけど、海ちゃんに会う為の資金を貯める為に。
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