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………久し振りに聞いた名前。
高柳夕梨。
もう金輪際、関わることはないと思っていたのに。
「なるべく関わりたくない人ですけど。私情を挟みたくないし仕事は仕事、割り切りますよ。まさか、嫌がらせ…?」
「さあな。俺は人事に口出しできるほど偉くもないし。……どうする?まひろに言うのか?」
…………どうする、俺。
「人事が発表されるまであと1ヶ月くらいですか。発表されてから話します。引き継ぎが始まるまでには」
「そうか。お前ならそうするだろうと思ったけど」
話したくはないが、話さない訳にはいかないだろう。
同じ会社に勤めている以上、こういうこともあり得ると覚悟しておくべきだったのか…。
彼女はどういう反応するのだろうか…?
社内恋愛というものは、本当にやっかいだ。
高柳との関係を断ち切った5年前に、懲りていたはずだったのに。
でも、俺にとっては最後だから。
"蘭まひろ"という名のハニートラップに、自ら望んで堕ちたのは俺なんだからな。
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