エマージェンシー・コール

8/9
86人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
『お前の代わりは誰にも出来ない』 佐伯主任から、そう言われているみたいだった。 そんなこと言われて嬉しくないわけがない。 顔の筋肉が弛み始めるのを感じるけど、私の目の前には、不機嫌顔で私を睨んでいる高柳さん。 いけない…。 これ以上機嫌を悪くさせてしまったら、大変なことになりそう……。 「蘭さん、食べ終わった?ちょっと広報にさっき忘れ物したから取りに行く。残務処理の続きは、歩きながら話そう。じゃ、すみませんけどお先に」 そう言ってそそくさと席を立つ主任。 「はい、了解です。では課長、高柳さん、お先です!」 遅れないように主任に着いていく。 「広報に何を忘れたんです?主任」 「あれ、嘘だけど?」 「じゃ、残務処理は……?」 「そんなもん、あるわけあるか」 あ、やっぱりね……そうだと思った。 「どうして私を呼んだんですか?私、必要でした?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!