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『お前の代わりは誰にも出来ない』
佐伯主任から、そう言われているみたいだった。
そんなこと言われて嬉しくないわけがない。
顔の筋肉が弛み始めるのを感じるけど、私の目の前には、不機嫌顔で私を睨んでいる高柳さん。
いけない…。
これ以上機嫌を悪くさせてしまったら、大変なことになりそう……。
「蘭さん、食べ終わった?ちょっと広報にさっき忘れ物したから取りに行く。残務処理の続きは、歩きながら話そう。じゃ、すみませんけどお先に」
そう言ってそそくさと席を立つ主任。
「はい、了解です。では課長、高柳さん、お先です!」
遅れないように主任に着いていく。
「広報に何を忘れたんです?主任」
「あれ、嘘だけど?」
「じゃ、残務処理は……?」
「そんなもん、あるわけあるか」
あ、やっぱりね……そうだと思った。
「どうして私を呼んだんですか?私、必要でした?」
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