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所長は、暗号文からたを抜いた文章を、手帳に書き足した。
「『くす利男』。これだけだと、まだわからないね」
私は、先ほど見せた女子高生が考えた暗号文を、所長に見せた。
「これ、何と読むかわかりますか?」
「『ボランティアに参加します』。そうだよね?」
所長は少し考えてから言った。
「そうです。そうです。おわかりのように、この暗号文は、漢字をバラバラにしただけで、説くのは簡単なんです。それを踏まえて、『利男』という文章をバラバラにしてみると、『ノ木リ田カ』ということになるでしょう。その中での『田』は、『た』と読み替えられますから、タヌキの容量で、たを抜くのです」
「それで、先ほどの文章と合わせると、『くすノ木リカ』。つまり、犯人は『楠木理香』ということになるね」
所長は勝ち誇ったように言った。
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