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一
この日、三島由香は、私、日暮由樹矢に捜査をしてもらうために、この探偵事務所にやってきたという。というのも、三島由香には、最近、悩みがあるというのだ。
それは、さかのぼること一ヶ月前、彼女がそのアパートに引っ越してきた日から始まったという。
「深夜〇時に、上の階から、目覚まし時計の音が、聞こえて来るのです。しかも、毎晩、同じ時間に」
「それは、上の階の人が、その時間にセットしているからなのでは?」
由香さんは、頭を横に振った。
「私が住んでいる階は、そのアパートの最上階。そこに住んでいる人なんて、一人もいません」
由香さんは、そう話しながら、出されたお茶に手をかけていく。それほど、のどが渇いているのだ。
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