第1章

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その日の放課後、僕らは一番早く、クラブのミーティングがあるこの教室に来た。文化祭について話し合うのだ。 僕とかんは二人で真ん中辺の椅子に座り、あれこれ喋りながら待っていた。僕は入部時全くの未経験だったにも関わらず、目立ちたがりの性格が幸いしたのか声が大きいのが重宝されたのか、三年生になった今、部の中心的存在だ。かんのように気配り出来るタイプじゃないから、部長は無理だけど。 廊下が不意に騒がしくなり、さら先輩の姿が見えた。 うちの部には時折卒業生が顔を出す。指導のためだったり、ただおしゃべりに来たり。さら先輩は一昨年卒業した先輩で、お調子者の僕が真剣に練習に励むきっかけとなった、憧れの人だ。 僕は嬉しくて教室の外に出迎えに出ることにした。 そこで僕は気づいた。 壁だ!
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