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無意識
「なんてこった!」
と言いながら、男は、走ってここまでやってきた。
男は立ち止まった。
(かわいそうに・・・)
手を合わせた。
ふと、左手を見ると、壁が崩れた駅舎のベンチで、本を読む少女がいた。
「お譲ちゃんは大丈夫だったかい?」
「え、なに?」
と、少女が言ったように聞こえた。
男は気付いた。
「お譲ちゃん、これ・・・」
少女は、男が指差した場所を見た。
そして、
少女は、
ゆっくりと消えていった。
いきなりの空襲があった。
男は、生存者がいないか見に来た憲兵だ。
ベンチには、男の足元にある遺体の、少女のカバンだけが残された。
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