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からから。
病室の引き戸が開く音がした。
そこには、ふるふる震える、セーラー服にピンクのジャージを着た少女。綿飴っぽいふわふわ髪の毛の、春夏冬(あきない)山鳥(やまどり)が立っていた。
否、立っていたというよりも、苛立っていた。
麒麟の手前、たおやかな微笑を顔面いっぱいに広げてはいるが、両足のニーソックスは激怒に震え、綿雪みたいに真っ白い額と手からは汗が滝のように滴っていく。
「あらあら。リスカちゃんにナニ舐めさせちゃうのかしら? 山鳥、知りたいわあ」
女の私から見ても愛らしい小鳥のような雰囲気の山鳥は、地域の地主一族、春夏冬家の一人娘である。
土地に始まり、駐車場、ビル、貸店舗、マンション、畑、田圃まで、不動産の大元は山鳥の実家に繋がる。この町で生きていく者にとって、春夏冬家は重要な存在だ。
山鳥はその家の一人娘で、茶道に日舞に書道、何でもこなす学業優秀者にして、学年男子の有志による人気投票で堂々の人気第三位のゆるふわ美少女だ。
(ちなみに私はワースト一位を獲得した! やったね、おめでとう!)
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