1 私の頭は遥かな朝日の夢を見る

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「原始的なインクを持たないペンで、鉄筆だとか角筆とも言う。文字を刻むための鋭い棒、と言った方が良いね。材質が硬いものなら何でもスタイラスだね。つまり木の棒でも構わない」 「指でも良いの?」 「勿論………古代ローマ、古代メソポタミアからある筆記具で、植物の巨大な葉のノートである貝葉や粘土板に筆圧で線を刻み、文字を書くために用いた。書ければ全てはスタイラスなんだよ」  学ランに膝枕されながら、私は眠たげな寝物語に耳を傾ける。  意味はこれっぽっちも分からないけれども、朝日の膝が心地良い。
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