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B「ふふっ、あははははっ」
A「っ!」
B「馴染みすぎ。見つからない訳だ。なにそれ、ダイスウ?」
A「数学です。実に面白い」
B「相変わらずの好奇心だね。そこも愛しいけど、もういい?」
A「覚悟はできております」
B「覚悟か。いちいちムカつくね」
A「恐縮です」
B「黙って」
俺が顔を近づけると、彼女は素直に目を閉じた。
静かに重なる唇。
ゲーム終了のスイッチだ。
その単なる皮膚接触は、それでも思わず震える程に甘やかで魅惑に満ちていた。
なかなか離せない。
しかし彼女の体は簡単にぐらりと仰け反った。
木造の壁にもたれ掛かる。
意識不明の彼女の目から涙が溢れて、頬の上で形を成していく。
出来上がった小さな生き物の、小さな瞳が、鋭く俺を刺した。
俺の好きな、彼女の眼光。
俺も体を椅子に座らせた。
少女の隣に。
そしてこの肉体から、分離した。
B「帰ろう」
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