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「それじゃ、ま――ミライちゃん。まだ真くん受け入れられないみたいだから外に連れて行ってちょうだい。もちろん空間転移やその他諸々無しでね。それにこっちの世界の補足もよろしく」
まこちゃんと言いかけた谷風にミライは眉を寄せた。
「は? なんで私が――」
「こっちに連れて来たのはあなたでしょ? それに研究対象の接触の仕方にも問題があるみたいだし。この責任は大きいわよ……」
谷風は顔を近付け、ミライの威圧を遥かに超える禍々しさにさすがのツンデレもたじろんだ。
「……分かったわよ。行くわよ」
重い腰を上げたミライは俺の隣まで来ると言い放った。
「さっさとして。観光案内なんてごめんだわっ」
全てに理解が及んだ訳ではない。しかし一つ分かったのは、どう足掻いても俺はどうにもできない。違う世界に来たと言われたのだから。確証はない。だがこれでもし外が俺の知っているものではなかったら、悟りを開くのは必至だ。
今は指示に従おう。外に出れば分かる。半ば諦めているが……
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