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――当たり前だ! あんた顔近すぎだ!
コミュ障発動。思考停止。無言が続く。そして少し俺は顔をのけ反った。こいつッ、何を考えてるッ!
「……あなた、正直に答えて」
彼女が顔を引くとむっつりして腕を組んだ。
「え?」
「あなた……本当に能力使えるの?」
「………はい?」
うわぁ……何この落差。気を引いといて言った言葉が支離滅裂。というかやはりこいつ厨二患者だ。持ち上げといてドーンとはまさにこのこと。一気に平常運転に戻った。
「ねぇ、その設定いつまで続けるの?」
あー、言った後に思うがこれはフラグだった気が……
それを聞くと彼女はスマホを見て何か操作すると耳に当てた。電話なんてするとこ初めて見るぞ。
「……ねぇ、どういうこと? 全くもって気配無いけど。ていうか能力
者でも無さそうなのはどういうこと?」
怒り口調で電話の相手に問い詰めてる。だが、内容から察すると痛すぎる。
「……はぁ? だから見えないんだって! どう見てもただのオタクよ! というか、まずこっちにはそういう概念無いに等しいんだけど」
さらりと心臓を抉る発言。本当に抉られる感覚に襲われた。
「本当なの? 機械の間違いでしょそんなの……分かったもういい。連れてく」
そう言って彼女は電話を切った。話から察すると今の切り方は、絶対相手の予想外で相手は慌ててると思われる。というか、連れてくって……
「ちょっと来て」
いきなり手首を掴まれた。顔を近付けられるだけで思考停止するのに故意に触られるなど……
「いや、ちょっ、へ、ヘッドフォン!」
強引にどこかへ連れて行く彼女に俺は首にぶら下げたヘッドフォンを置くことをつたない言葉から要求した。
「そんなもんさっさと置いて。すぐにあっちへ行くわ」
ほとんど聞く耳持たずと言った所だろう。まぁ、今に始まったことではないが。
部屋の中央で彼女は立ち止った。だが、俺の手首は離さなかった。とにかく俺はヘッドフォンを外した。
「それじゃ、行くわ」
「え?」
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