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モーリーさんは町でもう一仕事やらなくてはいけない用事がありました。それはモーリーさんのお母さんのお見舞いです。
モーリーさんが昨日、共同牧場からすぐ森の小屋に帰れなかった理由は町に住んでいるお母さんが急にからだが弱くなってしまい倒れてしまったからでした。
お母さんのお見舞いとコマタロウちゃんのための動物病院への行き来でモーリーさんの日常は忙しくなりました。
喧騒を離れたくて山ごもりをしていた自然が大好きなモーリーさんでしたが大切なお母さんとコマタロウのことをほっておけません。
ある時お母さんがモーリーさんに言いました。
「お前が可愛がっている猫を見せておくれ。」
コマタロウちゃんは動物病院にしばらく入院していましたが退院と同時にモーリーさんのお母さんのところに顔を見せに連れて行かれることになりました。
くろねこコマタロウちゃんを早速モーリーさんがお母さんに見せるとお母さんは言いました。
「あら!かわいい!」
モーリーさんのお母さんはたいへん喜びました。顔色もどんどん血色がよくなっていき、明るく笑顔でいっぱいになりました。
優しいモーリーさんは思いました。お母さんはずっとひとりで淋しかったのかもしれない。
お母さんはとても明るくなりコマタロウに会ったその日からどんどん回復していきました。
モーリーさんは考えて考えて、それはそれは考えた結果お母さんに言いました。
「お母さん、一緒に住もうか?」
モーリーさんは自然が好きで森の番人をしていたのですが本当はたくさんの素晴らしい能力を持っていた人でした。モーリーさんは仕事もできる。運動もできる。でも何より勝って持っていたのが優しい、という心の美しさだったのです。
お母さんは勿論喜びましたがコマタロウちゃんだって同じです。
お母さんは言いました。
「家の壁に小さい小窓のトンネルを作ってコマタロウがいつでも家と外を出たり入ったりできるようにしましょうよ。だってコマタロウは森で育った猫なんだから外の空気も欲しいわよね!」
くろねこコマタロウちゃんは元気よく「にゃーっ」と返事しました。
のどはすっかりよくなっていました。
モーリーさんはなんだかまだ自分から言ったものの少し複雑にはにかんでいました。
コマタロウちゃんはモーリーさんを一生忘れることはないでしょう。
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