序章

3/3
前へ
/323ページ
次へ
「そんな驚いた顔をしなくても。 採用、決定!」 「ちょ、店長!何を言ってるんですか!この子は……」 唖然としていると、隣の男が慌てた様子で店長をなだめる。 「この子は……何? 何も問題ないだろ?こんなにも可愛いのに」 慌てた様子の男を見ず、私の目をまっすぐに見て、優しい微笑みを向けてくれる店長。 「私が、可愛い、ですか?」 「うん。可愛いよ」 ニッコリ微笑むその顔に私の心は激しく脈打った。 初めて、可愛いと言われた。 初めて、認めてもらえたような気がした。 「君みたいな子が働いてくれるなら大歓迎だよ。 いや。是非うちで働いてくれないか?」 店長の手がゆっくりと私の前に差し出される。 「あ、ありがとうございます!頑張ります!」 差し伸べられた手をそっと取る。とても暖かい。 ――初めて、男の人に恋をした。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加