教室の戸って、こんなにも禍々しいものだったっけ?

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教室の戸を開けたら、そこにはまぁ、いつもと変わらない教室の風景があった。 規則的に並ぶ机と椅子。ただし円形。 お喋りする女子達。ただしちょっと困り顔。 今日の予習をする真面目。ただし教室の真ん中をチラ見しながら。 僕が教室に入ると、それに気付いたクラスメイトのひとりが手招きした。隣の席の相田(あいだ)。クラスの中ではかなり可愛い顔をしてるのに、残念ながら男子だ。 「ふみー、今日も頼むよ」 可愛らしくおねだりの相田に僕は、またかぁ、なんてトホホと苦笑ってから机にカバンを置いた。ちなみに"ふみ"はあだ名で、名前は史也(ふみや)。藤井フミヤは名前がカタカナだって知ったのは最近。 いつもと変わらない教室のど真ん中には、いつもと変わらずお布団が敷かれていた。 お布団。 机や椅子を並べて作った簡易的なものではなく、よくお日様に干されたふかふかの敷き布団が床の上に敷かれ、真っ白なシーツを敷き、もこもこの掛け布団にはレースをあしらったカバーが掛けてある。 枕が見当たらないのは、この布団のこんもりと丸く盛り上がった中にあるからだろう。
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