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「殲滅せよ!」
俺の一声で、戦槍やハルバード、ロングボウ等を装備した有翼の美女達が、一斉に飛び立った。
チェルシーが仕留め損ねた魔物を、見る間に駆逐してゆく。
流石は、神具の中でも呼び声高い召喚カード、“有翼戦姫”シリーズ。
ちなみに、1回きりの使い捨て。
1枚、金貨何枚分だろう。
いやいや、ここは考えるのを止めておこう。
「ふ、美女達が俺の為に争ってやがる……止せよ。俺の為に傷つけあうのは」
誰もいないのをいいことに、ちょっとカッコつけて言ってみたが、特に意味は無い。
あとは、俺の出番は無いな。
暇だな。
見ると、チェルシーは楽しそうに花を咲かせ続けている。
戦うというよりは、新しく教えてもらった手品が楽しくてやっているかのように見える。
チェルシーの辺り一面は、純白の花びらで満たされていた。
「おーい、魔法を使い過ぎると精神力を消耗するぞぉ」
魔法使いなんだから、魔法を使い過ぎると意識を失う事くらい知っているだろうに。
そうでなくても、今まで威力の高い魔法を使ってこなかったんだから、急激に精神力を消耗すれば、ただでは済まないはずだ。
下手したら脱力だけでなく、本当に気絶しかねない。
そろそろ魔法を止めさせようと足を踏み出したその時、電波塔の方から、青白い光が発生した。
光は空をドーム状に空を覆うと、すぐに消える。
その光に撃たれた空飛ぶ魔物が数匹、地面に落ちて動かなくなった。
陸にいた魔物達も、軒並み雷に打たれたように痙攣し、その場に崩れ落ちる。
「お。結界が張られたみたいだな」
ナイフをしまい、俺は辺りを窺った。
地をのたうち回っている瀕死の魔物を除けば、俺とチェルシー以外に生存している生き物の姿は見えない。
「やぁ、おつかれさんで」
ハンカチで手を拭きながら、シェンが発電所からもそりと顔を出した。
一体どんな作業をしたらそうなるのか、顔はススで汚れて真っ黒になっている。
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