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だが。
他の2人を見ると、どうやらこいつらも乗り気なようで、チェルシーに至っては、「わー、なんかワクワクするねっ」と、早くもダメなムードだ。
「……デック、お前は、行くの?」
「はぁ……。私は王妃様に従うだけです」
「いい歳して何でも上に従うだけじゃあ良くないぞ。お前、いくつだっけ?」
「19です」
「げ、なんだよ。おじさんは俺だけか」
デックが落ち着きすぎていて気が付かなかった。こいつ、思ったよりも若いぞ。
見た目だと24、5歳くらいかと思っていたが。
「大丈夫っ、君たちはボクが守るからねっ!」
一番のガキが胸を張って何を言うか。
そもそも張る胸もないくせに。
仕方がないので、ここは俺が仕切る事にした。
「分かった。けどな、この船は定期船だから、船長にボート出してもらって行くしかないからな」
「はーい!」
「エク、お前は勝手に突っ走らないで、皆と足並みを揃えること」
「はいは~い!」
「チェル、君はサポートに回ってくれ。町の中だ、どこに市民が隠れているか分からないから、危なっかしい攻撃魔法は控えるように」
「うん!」
「えーっと……デックは、」
「はい!」
「特に無いな。それじゃあ各自昼食後、ここに集まるように。解散!」
キャッキャしながら、チェルシーとエクが食堂へと続く階段を下りていった。
よし、そうと決まったら俺も戦闘準備をしておくか。
「あの……フォロン」
「ん?」
振り向くと、何故か哀愁を漂わせているデックが俺の事を見下ろしていた。
「いえ……なんでもありません」
やはり20代の哀愁を漂わせながら、デックは甲板を後にした。
なんなんだ、あいつは。
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