第5章 【破滅の剣】

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昼食が終わる頃、俺は再び甲板に出た。 海上の魔物はウィステリアに引き寄せられているのか、午前中の戦闘以降、俺たちが船上で奇襲されることはなかった。 このまま行けば、翌朝には港に着くだろう。だが、この船自体を港に横付けする事はできないらしい。 ま、当然だな。 この船には俺たちの他にも一般人が大勢乗っているんだから。 船長の許可を貰って避難時用のボートを1隻工面してもらっていた。 幸いな事に、俺たちのような物好きは他にいないらしい。 「随分静かな航海になりましたね」 声のした方を振り向くと、鎧を脱いだデックが、船べりに肘を乗せて水面を見つめている所だった。 鎧は身に付けていないが、相変わらず無骨な大剣を背負っている。 「なぁに、明日になればまた楽しいパーティーが始まるよ」 「ははっ」 相変わらずデックは悠然としている。こいつと同い年の時って、俺は何してたかな。 そんなことを考えていたら、珍しくデックが続けて話しかけてきた。 「フォロン、戦うことは好きですか?」 「ん?……あんまり、好きじゃないな」 「私は好きですよ」 デックは、今まで見せたことの無いような微笑を浮かべた。 「戦うことが好きで、私は剣を学びました。それが兵士長の目に留まり、やがて、私はイストルランド兵として抜擢されました」 「はは、よほど強かったんだね」 「はい」 デックは淀みなく答えた。 やっぱり、こいつの事はよく分からない。 「ですが、私には、人は殺せませんでした。仲間からは嘲笑され、不名誉なアダ名も付けられました。兵を辞めようと考えていた時に拾っていただいたのが、シャルエ様……エクート様なのです」
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