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「いたいた、2人で何話してんのー!?」
甲板に、エクとチェルシーが顔を見せた。
食後の腹ごなしでもする気だったのか、エクは両手に愛用のナックルダスターを嵌めている。
真鍮製で、甲の部分に取り付けられた鋲には、敵を麻痺させるシビレガの鱗粉が塗ってあった。
鋲自体も、敵の皮膚に食い込むような鋭い刺の形状をしている。
「デックの人生相談だよ。それより、そんなもの装備して何をやるつもりだい?」
「チェルと話してて、新しい技を思い付いたから、ちょっと試してみたいんだよね」
両手の鋲をカチカチとぶつけて鳴らし、エクはにっこりした。
俺を見るな。
「それでは私がお相手しましょう」
デックが進み出るが、エクは相変わらず俺を見ている。
「デックは疲れてるだろ。いいからそこで見ててっ」
今日は随分、積極的じゃないか。
「待て、俺は丸腰だ」
「大丈夫、やさしくするから!」
ナックルの時点ですでに殺る気マンマンなんだが。
「やめろ、ちょっ、まてまてまてっ」
「わかった、止めるからとりあえず首こっちに向けててっ!」
止める気ねぇ!!
「すぅーぱぁー……ナックル・ゴールデン・パーンチと思わせてキーック!」
俺は、センスの欠片もない飛び蹴りを顎に食らって、やや控えめに吹っ飛んだ。
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