第5章 【破滅の剣】

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「いたいた、2人で何話してんのー!?」 甲板に、エクとチェルシーが顔を見せた。 食後の腹ごなしでもする気だったのか、エクは両手に愛用のナックルダスターを嵌めている。 真鍮製で、甲の部分に取り付けられた鋲には、敵を麻痺させるシビレガの鱗粉が塗ってあった。 鋲自体も、敵の皮膚に食い込むような鋭い刺の形状をしている。 「デックの人生相談だよ。それより、そんなもの装備して何をやるつもりだい?」 「チェルと話してて、新しい技を思い付いたから、ちょっと試してみたいんだよね」 両手の鋲をカチカチとぶつけて鳴らし、エクはにっこりした。 俺を見るな。 「それでは私がお相手しましょう」 デックが進み出るが、エクは相変わらず俺を見ている。 「デックは疲れてるだろ。いいからそこで見ててっ」 今日は随分、積極的じゃないか。 「待て、俺は丸腰だ」 「大丈夫、やさしくするから!」 ナックルの時点ですでに殺る気マンマンなんだが。 「やめろ、ちょっ、まてまてまてっ」 「わかった、止めるからとりあえず首こっちに向けててっ!」 止める気ねぇ!! 「すぅーぱぁー……ナックル・ゴールデン・パーンチと思わせてキーック!」 俺は、センスの欠片もない飛び蹴りを顎に食らって、やや控えめに吹っ飛んだ。
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