第5章 【破滅の剣】

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「いいよ、じゃあ付いてきて」 今度はエクを先頭にして、俺たちは建物の裏口から外へと出た。 店から持ってきていた魔物避けの香水を使っているのだが、これもいつまで効果が続くか分からない。 建物のあちこちから、歯車の回る音や何かをプレスする音が響き、俺たちの足音をかき消していたのは幸いだった。 迷路のように入り組んだ狭い路地を抜けて、用水路の流れる薄暗い場所までやって来た。 工場の一角といったところだろうか。道路の左右には似通った形の倉庫が立ち並んでいて、シャッターの上に飾られている歯車の形をしたプレートには通し番号が彫られていた。 この辺りは、海沿いより魔物の数が少ない気がする。 まだ内陸の方までは、魔物は入って来られないようだ。 「最近は倉庫で実験することが多いって言ってたし、多分ここだよ」 エクが指差したのは、歯車に 「Si―07」 と彫られた、石造りの黒い倉庫だった。 屋根からは背の高い煙突が3本伸びていて、見ると、そこから白い煙が立ち上っている。 「何かいるみたいですね」 デックが言う。 これで中にいるのが人間じゃなかったら、さすがに困っちゃうぞ。 「おーい、誰かいる?」 警戒感ゼロの奴が1人、勢いよくシャッターを上げた。 「ひいっ?!」 中で誰かが小さく悲鳴を上げた。 室内には、エクなら10人くらいは余裕で入れそうな竈が3基、激しい焔をあげていた。 左右には、山積みにされたツボや、薬草水の詰まった棚、ノコギリや巨大な火バサミ、何に使うのか恥辱の樽まで置かれている。 「あれ……君は……」 ツボの陰に隠れていた男が顔を出した。 ヨレヨレシャツに白衣、撫で肩で気の弱そうな男。歳は俺と同じくらいだろうか。
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