第5章 【破滅の剣】

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いや、デックという前例があるから見た目で判断するべきじゃないか。 俺たちが倉庫に入るのを見計らって、男はすぐにシャッターを閉めた。倉庫内は、竈の明かりだけになる。 「えっと……皆、この人はシェンって言って、セイの弟なんだ」 エクが一通り俺たちを紹介した後、シェンに勧められ、部屋の端に置かれていた椅子に座った。 「こんな状況でゆっくりできないと思いますが、楽にしてください。今お茶を淹れますから」 おずおずと言って、シェンはトレーの上にビーカーや試験管を人数分並べ始めた。 こいつは何を飲ませる気だ。 ケトルを一番左の竈の上に掛け、シェンは、棚の奥から黒っぽい瓶を取り出すと、中の粉を目分量でケトルの中に加えた。 何やら怪しい香りがたちこめる。 「いやぁ、ここまで来るの大変だったでしょ。みんな上の防災センターに非難してるから、後で顔見せに行ってやってよ、喜ぶよぉ」 ニタニタと笑うのはこの男の癖なのだろうか。 悪気が無いとは言え、エクの顔を見てニタニタと笑っているのは、見ていてあまり気持ちのいいものじゃない。 「横から口を挟むようですまない。問題の石についてセイ・スティラーに聞きたいことがあるんだが、彼は防災センターにいるのかい?」 「……あぁ、アニキねぇ」 それまで笑っていたシェンが、急に不機嫌な表情になった。それは兄の事を持ち出されたからなのか、それとも俺が横から口を挟んだからなのか。多分、両方だろう。 「アニキなら電波塔の中だよ。あの石の成分を調べるためにずっと籠りきりなんだよね。迷惑だと思わない?」 「電波塔……町の真ん中にある背の高い塔の事ですね」 デックが聞くと、シェンは頷いた後で「まあそれ以外考えられないよね」と付け足した。
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