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ケトルが湧くと、シェンはその中に、黒い枝のような何かを数本と、テーブルの上に置いてあった緑色の瓶を傾け、ドロリとした液体を流し込んだ。
花柄のミトンを手に嵌めてケトルを掴み、それぞれのビーカーや試験管に謎の液体をとぷとぷと注いでいく。
「あの石くそ重いからね。なんであんなのが投網で引き上げられたのか分からないんだよね。アニキは結界石の強化に使えるかもって言ってたけど、正直邪魔だよ。アニキと一緒にどっか行けばいいのに」
謎の液体が入った容器をそれぞれに配ると、シェン自身も自分のコップに注いだ。
「どぞー。冷めないうちにね」
臭い。
俺の前に置かれたビーカーからは、鍋を焦がした時のような匂いが立ち込めていた。
見ると、俺の容器が一番大きい。
ニタニタ笑いに戻ったシェンが、俺を見ながら「どぞ、どぞ」と勧めてくる。
こいつ、わざとだろ。
3人を見ると、やはり全員困惑した表情でお互い目配せしあっていた。
が、意を決したデックが、おもむろに、三角フラスコに口を付ける。
チェルシーとエクも顔を見合わせ、お互いの容器に口を付けた。
ええいままよ!
俺もビーカーを鷲掴みにすると、黒光りする液体を口の中に流し込んだ。
視界の端でシェンがニタニタ笑いを浮かべながら、俺を監察しているのが見えた。
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