第5章 【破滅の剣】

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「っ……!」 旨い! ……訳もなく、俺は口に含んだ苦い液体を無理矢理喉に流し込んだ。チェルシーは口元を押さえ、エクに至ってはそもそも舐めただけらしく、それでもしかめ面をしていた。 デックは眉をひそめ、少し不思議そうな顔をしていたが、どうにか飲み込めたらしい。 「子供にコーヒーはちょっと早いよね。でも、少しくらいは飲んでおいてくれよぉ、イイモノ入ってるからさ」 そのニタニタ顔でイイモノと言われると、どうしてもいかがわしいモノが入っているとしか思えないんだが。 「そういえば、コーヒーの香りですね」 思い出したように、デックが呟いた。 もしかすると、イストルランド周辺ではよくある飲み物なのか。 シェンは早々に自分のコップを空にすると、白衣を脱ぎ、木箱の上に置かれていた丈の長いコートを羽織った。 何が入っているのか、重そうな白い肩掛け鞄を下げ、スリッパを脱ぐと、代わりに革靴を履きなおす。 「そいじゃ、行きますか」 「行くって、一緒に来るの?」 「とーぜん。アニキの尻拭いは不出来な弟の役割ですからねぇ。塔までの近道をお教えしますよ」 一緒に付いてきても邪魔になりそうだったので、俺としてはここに残っていてもらいたかったのだが、案の定、チェルシーとエクは大はしゃぎだ。 「ところで、どんな武器を使うんだい」 戦闘になった時の参考にしたかったので尋ねると、シェンは意外そうに肩をすくめた。 「こんな格好で戦えると思います?あなた意外と抜けてますねぇ」 「はは、フォー抜けてるってさ!」 「お前には言われたくないよ」 やっぱり腹のたつ男だが、エクが楽しそうにしているのを見ると、それでもいいような気がする。 やっぱり甘いのか、俺は。
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