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倉庫を出た俺達は、シェンの指示で倉庫地帯を抜け、市街地へと進んだ。
案の定、人の姿はない。
「アニキは毎回妙な実験で周りに迷惑掛けるからね。何があってもいいように、有事の時は緊急避難措置が取られるんだ」
シェンが、民家の屋根に取り付けられている渦巻き型の金属を指して言った。
「広域放射性警告発令魔具二型、通称マキコちゃん。アレ、俺の発明」
ドヤ顔で言われても、何に使うのかいまいち分からない。
見ろ、チェルシーなんか異国語で話しかけられている時みたいな顔をしているぞ。
市街地もあと半ばという所まで来た時だった。
最初に気が付いたのは、しんがりを務めていたデック、その次は、意外にも先頭を行くシェン。
「あっちゃー、みつかったか」
言葉の内容とは裏腹の明るい声色に、デック以外は、武器を構えるのが僅かに遅れた。
ちなみにシェンは、初めから武器を持っていない。
「皆さん、上です!」
誰よりも素早く背中から大剣を外し、デックは頭上に掲げた。
瞬間、空からスコールのような羽根の矢が降る。
「きゃあっ!」
今の悲鳴はチェルシーか。
俺は咄嗟にマントを翻し、すんでのところで攻撃を避けた。
厚手のマントだというのに、何本かはマントを貫通して皮膚を切る。
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