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「で、そのメンバー編成の理由は?」
「決まってるだろ、なるべく強い奴がアニキをぶっ叩いてくれれば嬉しいんでね」
シェンは本気か冗談なのか分からない笑みを浮かべている。
だが、石を壊さなければいけなくなったら、攻撃力のあるデックとエクがセイの元に行った方が効率がいいのは確かだ。
「じゃあ、ここで分かれるか」
「フォー、本当に大丈夫なの?」
俺の顔をまじまじと見ながら、エクが小首を傾げた。
なんだ、こいつにしては珍しく、俺の心配か。
いくら跳ねっ返りとは言っても、こういう時はやっぱり優しいんだな。
「はは、心配するなよ。戦闘は苦手だけれど、チェルシーとシェン位なら護ってやれるよ」
「そうじゃなくてぇ」
エクが眉間にシワを寄せた。
この流れは、いつものか。
ちくしょう、騙された。
「もう歳なんだから、足腰立たなくなってんじゃないのぉ?」
こんな時だってのに、いちいちボケをかますのは止めてくれ。
「バカヤロ、お前と大して変わらないだろうが」
「武器貸してあげようか?」
ナックルを出すな、ナックルを。
俺にナックルを貸したら、お前ハープ担当になっちゃうだろうが。
デックに“死にゆく者への狂乱舞踏”だの、“昏睡の戯曲”だの、訳の分からない曲をぶちかまして、全滅する未来しか見えてこないぞ。
「さぁ、行きましょう。行ってセイさんにかまして差し上げましょう」
デックがうまいこと会話を止めてくれたが、なんだか敬語で不穏な事を言ってるな。
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