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まだ、あと何体残っている?
いい加減、ここにいるやつら全員を相手にしていたら、いつまで経っても発電所まではたどり着けない。
「……仕方ない」
俺は、左腰に装着していた黒革のチョークバッグに手を掛けた。
スラスを引き、バッグの中から手のひらサイズの黒いカードケースを抜く。
「なるべくなら使いたくなかったんだが、仕方ないな」
俺は、ケースの中から1枚、カードを引き抜いた。
青い背景に、金色の古代文字。真ん中辺りには、ややレトロがかった獅子のイラスト。
カードの右上には、縦に3本の線が引かれていて、残りの回数が3回であることを教えている。
「いくぞ、」
俺は、カードを胸元に当てた。
が、カードが発動する直前、辺りの地面を深紅の焔が舞った。
「おっと!」
反射的に跳び跳ねるが、焔は燃え移って来ない。
魔法、か?
俺の足元を焼いているはずの焔だが、触れてみても全く熱くなかった。
しかしパンパサーペント達には効果が絶大だったようで、広場はたちまち焼かれた魔物の死骸で埋め尽くされた。
「ま、まさか」
俺は、後ろを振り返った。
民家の窓の向こう側。
そこにいるはずのシェンが、俺と同じようなカードを持ってニタニタ笑っていた。
シェンの隣には、空飛ぶ金髪美女。
その華奢な左手には、金の天秤を掲げている。
「げ…………げっかせいれぇーい!!?」
フォロン・イケガミ、27歳。
俺は、絶叫した。
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