14人が本棚に入れています
本棚に追加
「回復魔法が、使えない……?」
チェルシーは、少なからずショックを受けたようだった。頑張って練習したって言ってたもんな。
「ちょ、これは俺の憶測だけど、きっと大丈夫だよ」
呆然としているチェルシーを励ますためか、シェンは慌てて付け足した。
「君、魔導師じゃなくて魔法使いでしょ。本来の魔法使いの力がついてきたから、魔導師の方の力が弱まってきたんだって」
つまり、勉強で会得した回復魔法が使えなくなる代わりに、オータムリーフの魔法が今後使えるようになっていく、という事だろう。
「それじゃ、これから先は植物を生やすことしかできなくなるのかぁ……」
チェルシーは更にがっかりしたようだった。
チェルシーの頭の中では、きっと
植物魔法=園芸、又は食べる為の物
の構図が浮かんでいるのだろう。
俺だって、未だに攻撃魔法としての植物のイメージが湧いてこない。
攻撃として出すとすれば、例えばツルで巻き付くとか、毒のある植物での攻撃なのだろうか。
「そういえば、薬草も草だよなぁ」
何気なく、俺は呟いた。
「そっか、そうだよね!」
何を思い付いたのか、チェルシーは、下ろしかけていた手を再び傷口に向けた。
これには俺だけじゃなく、シェンもぎょっとする。
「なに、何をするっ?!」
まさか、薬草を出すつもりなのか?
「いでよ……薬草っ!」
チェルシーは、自信満々で高らかに言った。
最初のコメントを投稿しよう!