第5章 【破滅の剣】

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「でもさぁ、なんでイストルランドに向かってんの?魔導師は霧の町付近で逃げたんでしょ」 エクが俺の事を小バカにしたように見つめているが、それはこの間から3回くらいはした質問だぞ。 昼飯まではまだ時間があるので、俺はポケットから地図を取り出すと、それを甲板に広げてみせた。 エクは地図を挟んで俺の反対側に座り、覗き込んできた。 「まず、ここがランドレイクな」 俺は、不格好なC字型をした大陸の右下を指した。 やや小さめな大陸で、まるで背骨のように、縦にまっすぐ山脈が走っている。 北に霧の町、南東にランドレイクを記した町の記号が書いてあった。 「俺たちの目的は、あの魔導師をみつけ、国王の元へ連れていくことだ。 大人しく付いてくれば、それに越したことはないが、いくら仲間のチェルシーがいるとはいえ、黙って付いてくるとは思えない」 「まぁ、付いてくれば処刑されちゃうもんね」 エクは大人しく頷いている。 「そこで、まずは魔導師の攻撃に対抗できるように、魔具を調達する」 ランドレイクの場所に指を置いていた俺は、その指を地図の右、つまり東側に向かって走らせた。 しばらく海上を進んでいた指は、レモンのような形をした、やや大きめの大陸にあたる。 「ここが、イストルランドのあるお前の地元な。イストルランドはこの大陸の東の端の方だ。 けど、いちいちイストルランドまで魔具を取りに戻っていたら、その間に魔導師は遠くまで逃げる恐れがある。だから、ここ、」 レモンの左端をトントンとつついた。 そこには港町の記号が書かれている。 「事前にイストルランドにいる兵士と連絡を取り、ここで落ち合う約束をした。魔具を持ってきてくれ、ってな」 「じゃあさ、別にボクらが船に乗る必要はなかったんじゃないの?ランドレイクまで持って来させればいいじゃん」 お、エクにしては鋭い質問だな。 「ランドレイクはイストルランドの領土じゃないからな。お前の所の兵士が勝手にうろうろしていい場所じゃない。お前たちはあくまでも保養って事で許可を受けてるから滞在できているんだぞ」 「ふぅーん」 と思いきや、なんだその興味の無さそうな返事は。
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