第5章 【破滅の剣】

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「その町ウィステリアだろ。来る時通ったよ。相変わらず妙な町だよねぇ」 王妃のお前が言うな。 俺は地図を畳んでポケットにしまった。 「エク、あまり勝手なことをやって国王を困らせるなよ」 「わかってるよ。今回だって、魔導師が、チェルシーが言うようなマトモな人間なのか、事前に確かめてやろうと思ったんだよ」 チェルシーの前で「楽しそうだからまぜて~!旅に行きたい~!」ってバタバタ暴れてたヤツが何を言うか。 「もしその魔導師がムカツク奴だったら、これでメッタメタのボッコボコにしてやるもんね」 エクはハープを両手で持って、それで殴り付ける仕草をした。 使い道がまず間違っているし、その殴り方だと、せいぜい顔に縦線を付ける事しか出来ないぞ。 「わあっ、あれ何っ?!」 チェルシーが歓声をあげた。 視線の先を追うと、海上から伸びた背の高い石造りの柱が数本、列になっていた。 柱のてっぺんからは、大きな丸い金属が吊り下げられている。 「あぁ、あれは罠だよ」 「罠?」 チェルシーが聞き返す。 エクもこれが何なのか分からなかったのか、説明する気は無さそうだったので、ここは俺が説明する事にした。 「この海域には、昔、バフィードリウスっていうドラゴンがいたんだ。あいつらは深海に住んでいたんだけど、音に敏感だったから、柱の先にある鐘を鳴らすと、気になって海上に顔を出す。その隙をついて狩りをしたんだな」 「いた、って事は、もういないの?」 「元々温厚なドラゴンだったからなぁ。あいつらは額の真ん中に、すごく固い角が生えていて、槍なんかの材料になっていたんだ」 「バフィードリウスの角は、ちょっとやそっとじゃ折れませんから、ハンターは皆、海面に出てきたバフィードリウスの頭部を割って、頭蓋骨ごと角を取っていたようですね」 チェルシーの横から、珍しくデックが口を挟んできた。
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