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身体が動くたびに、毒が身体を回っていく。
「あと、何分だろうな? その毒は特別、進行が遅いタイプだから、あと十分くらいか? んー? もう、耳が聞こえないかぁ?」
身体が動くこどに、毒が身体を回っていく。
「あと、何分だろうな? その毒は特別、進行が遅いタイプだから、あと十分くらいか? んー? もう、耳が聞こえないかぁ?」
「…………」
立ち上がり、山都はサソリを睨みつけた。気持ちだけは負けないように、目の前の相手を逃がさないように。
「まぁ、あんな女のために身体をはる必要なんてないと思うけどな。スパイダーのリーダーなんて、偉そうにしてるが、身体は汚れきってる」
「…………」
立ち上がり、山都はサソリを睨みつけた。気持ちだけは負けないように、目の前の相手を逃がさないように。
「まぁ、あんな女のために身体をはる必要なんてないと思うけどな。スパイダーのリーダーなんて、偉そうにしてるが、身体は汚れきってる」
「…………」
「知らないなら教えてやろうか? あいつはなぁ。蜘蛛皮糸里は、中学生の頃、父親に犯されてんだよ。はっ、父親も父親なら、娘も、娘。どいつもこいつもクズってわけだ」
「…………」
「残念だなぁ。こんなことに巻き込まれて、後悔してるんだったら遅かったな」
「後悔なんてしてねぇよ」
「あ?」
「後悔するくらいなら、さっさと警察に通報してる。ただな。あいつは、自分の過去と戦ってんだ。ただの弱者が、みんなで力を合わせて、理不尽に、不条理に立ち向かった。こんなかっこいいことなんてねぇ」
山都が蜘蛛皮糸里に協力しようと思った理由。
「あいつは、あいつで戦った。それだけのことだ」
毒に犯された、身体を押し上げて、山都は拳を構えた。
「口先だけじゃ、なんとでも言えるんだよ!!」
サソリの鋏が、山都の肩に深々と突き刺さる。真っ赤な鮮血が鋏を濡らして、がっちりと抑え込んだ。
「なっ、くそ。てめぇ」
「毒だろうが、なんだろうが。いくらでもくらってやるよ。ただし」
山都はニィと笑った。
「俺の拳に耐えきれたからな」
「くそっ!! てめぇ、死ぬきか!!」
「死ぬ覚悟もない奴が、こんな場所に立つわけないだろ」
山都は、獅子の力を両手に集めた。
「俺が死ぬか。お前が死ぬか。どっちが頑丈か、勝負と行こうか!!」
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