秘境駅の秘密

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秘境駅マニアの私は会社の夏休みを利用して本州のとある片田舎の秘境駅にやってきた。青々と葉を付けた木々に覆われた山中にその駅は小さく佇む。 秘境駅の利用者だろうか、本を読む少女が待合室に座っていた。 「…此処は何処だか御存じ?」 次の彼女の言葉で僕は何の悪い冗談だろうと思った。 「此処は黄泉の国の入り口」 だが彼女の言葉は妙な説得力を感じずにいられない。 「今日は月遅れ盆の入りの日よ」 そう言うと彼女は私に火の灯った提灯を渡すと列車が二両しか止まれないホームに8620型蒸気機関車が停車した。するとホームが延びて客車全てから人が降りれる長さになる。直ぐに人が降りてくると其処に 「よう哲夫。お前、まだ独身か?」 十三回忌のお父さんが帰ってきた。 Fin.
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