嫁ができました。

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「おはよーございまーす」 部署につくと、あいさつをしながら自分のデスクに座る親友。 「おはよう、野江。米田もおはよう」 「おはようございます。桐嶋さん」 3年先輩の桐嶋さんがこちらを向いて微笑む。 私も挨拶を返して、春の隣のデスクに腰かける。 「野江、よかったな。担当作品、重版かかったって」 「ほんとですか?!やりー。今回の巻は、結構重要なシーン多いんで自信はありましたけど」 私の職場は、出版会社の編集部。 文芸志望だったけど、少女漫画の担当になった。 隣の野江は、ミステリー漫画の担当。 色んなジャンルを手掛ける漫画雑誌が売りのうちの会社は一人一人ジャンル別に担当がいる。 その中で私は少女漫画。 主に、頭がお花畑になりそうな程甘々だったり、心が痛くなったりする程切ない感じだったりの、恋愛ものが多い。 「米田」 「はい」 デスクでメールのチェックをしていると、奥のデスクから名前を呼ぶ声が聞こえる。 「なんでしょう」 デスクまで行くと、編集長が椅子にくるくる回っている。 何してるんだろう。 「お前、○○先生の新巻の発売日に書店でやるイベントの企画できた?」 「あぁ、はい。できました」 黒い淵の眼鏡の奥から、私の顔をじっと見る編集長に返事をして自分のデスクから企画書取り、彼に出す。 たまに変な人と思うことがあるが、仕事はできる編集長。 「あの、どうですか?水原編集長」 「いいんじゃねーの?内容しっかりしてるし。流石米田。これで今日の企画会議通してくるわ」 「ありがとうございます。お願いします」 何とか行けたみたいだ。 お気にめしてもらえてよかったよ。 「じゃ、今日もしっかり働いてちょ」 「はい、失礼します」 そのままデスクに戻って、再びパソコンとにらめっこ。 頑張ろう。
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