私は扉を開く

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私は扉を開ける。 すると、そこは小学校の教室。 「あれ?」 河本藍はびっくりして固まる。 私、オフィスにいたんじゃ。 「あいちゃーん!どうしたの?早く席尽きなよ!」 藍を呼ぶのは、小学校の頃の友達 けいちゃん。 しかも、子供の時のけいちゃんだ。 そんなはずない。 小学校を卒業してから15年近く経っている。あの時の姿だなんて。 はっとして自分の姿を見る。 紺のスカートの下に白いソックス。 上履きだ。 髪の毛は、茶色く染めてたはずが真っ黒。長さも違う。 そして背にはランドセル。 「子供の頃の私?」 ど、どうしよう。 てんぱる藍に手を振り続けるけいちゃん。 とりあえず、けいちゃんの元へ行く。 自分の席すら分からない。 「けいちゃん、おはよ。」 「あいちゃん、どうしたの?元気ないよ?」 「ううん。大丈夫。」 「どうしたのー?あいちゃん。」 隣から洋子ちゃんもしゃしゃりでてくる。 あぁ。子供ってこーゆー感じだった。お節介とゆーか。 「ううん。大丈夫だよ。」 「具合が悪い時は言うんだよぉ。」 「ありがとう。洋子ちゃん、けいちゃん。優しいね。」 と言ったとき胸がちくりとした。 私、子供になっても愛想笑いなんかするんだ。 自分の席もすぐ分かった。 見覚えのある手提げが机にかかってた。 手にとって見てみる。 お母さんの手作り。 子供の頃は何とも思わなかったけど、あらためて見ると作りが雑だ。 私だったらもっと完璧にやる。 これだって子育てという名の仕事でしょ。 こんなテキトーじゃ世の中やってけないわ。 イライラしてきて、藍は手提げをゴミ箱に捨てた。 それを安田君が見てた。 不良ぽいグループにいる子だ。 あ。どうしよう。 言い訳しなきゃ。 けど、何も言えなかった。 子供に戻っても、私は何も言えない。
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