第1話

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第1話

「メイ怪我してるの?」 拓斗が心配そうに後ろを振り返ると、ノブちゃんが被せる様に謝ってくる。 「追い回すから必死に逃げたんだよね、本当にごめんなさいね」 私の頭を撫でながら彼を悪者扱いするノブちゃんだが、大人げなく本気で走り人の事を責められないし、挙句足を捻ったのは運動不足だ。 話の続きって何なんだろうと思いながら、車は拓斗の自宅に向かって走っていた。 再び門を過ぎて入り口に向かうと、ノブちゃんは先に降り「私の首に掴まって下さい」と抱える気満々だ。 「――俺が連れて行く!」 拓斗が私とノブちゃんの間に割り込んできて、強引に抱き上げられた。 「そんな汗臭い人に抱っこされても、メイちゃんが迷惑とか考えられないものかね……」 と運転手の方と後をついてきたが、彼はお構いなしにリビングに向かった。 少ししか日にちが経ってないのに拓斗に久々に逢った気分だ。 優しく抱きかかえてくれているが、迷惑をかけているのは私なのに、こんな事までしてくれて申し訳ない気持ちで一杯になる。 「お互い汗だくでしょうし、まずはシャワーを浴びてさっぱりしてきたらいかがですか?」 私が立ちあがるとノブちゃんが支えようとしてくれたが、素足だと歩けるので大丈夫だとお礼を言った。 拓斗は二階から荷物を持って来てくれバスルームを使わせてもらう。 二度と来る事はないと思っていたのにアクシデントはあったが、こんなにも早く機会がきてしまうとは正直自分も驚いていた。 こんな時でもこのシャンプーやボディソープの匂いは、やはりホッとして気持ちを落ち着かせてくれる。 シャワーを済ませ髪を乾かすとメイクを始めた。 服に着替えてリビングに向かうと既に拓斗は座っており、ノブちゃんはキッチンに立っていた。 指示されてソファに座ると、ノブちゃんはスプレーや湿布をし包帯ネットをつけてくれた。 足の痛みは随分楽になりお礼を言うと、アイスティを淹れてくれて準備されていた。 氷の入ったアイスティは涼しげで綺麗だったが、美味しいのと喉が渇いていた事もありすぐに飲み干してしまうと、追加で注いでもらった。 「今日アヤツが変な行動をしなければ、楽しいショッピングだったのに台無しになってごめんね」 「いえ、悪いのは私なので……」 と思わず俯いてしまう。
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