第1話

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愛情も感じる事ができて、私も大好きで……幸せな気分になる。 ――こういう人とずっと一緒にいたい。 そう考えると『結婚』と言って貰えた私は最高に幸せ者だと思う。 この年齢だと結婚も出産も遅いぐらいだし、私なんかをパートナーに選んだ貰えただけでも光栄だと思う。 「仕事辞めようかな……」 そんな気持ちになりながら髪を乾かしていた。 結婚したら生活費とかどうすればいいのだろう、私が仕事を辞めたら収入ないから、拓斗に負担を掛ける事になるけどいいのかな。 結婚をした事がない私は、こんなところからすべてが疑問になってくる。 私の化粧品とかどうやって買えばいいんだろう。 貯金を使ってもいずれはなくなるし、拓斗の誕生日にプレゼントを贈りたいけど、そういうお金は皆どうやってやり繰りしていってるのかな? パートで働いてるのかもしれないけど、老舗の宝石屋の息子の奥さんがスーパーとかでパートってアリなんだろうか。 ――いや何か違う気がする。 拓斗が恥をかくだろうし考えると段々と深みにハマっていく様な気持ちになる。 お金のシステムも分からないし、引越しの荷物は?と頭がショートしそうになっていた。 プロポーズされて、その後どういう流れになるのか見当もつかない。 大人になってからの結婚って、色々考える分厄介なのかな……。 『……寝よう、明日は早番だし』 考え込むと朝を迎える事になりそうなので、とりあえず無理やりベッドに潜り込んだ。 昨日は夜遅くまでご飯に時間を費やしたので、気分的には遅番が良かった。 少し眠いが、いつものように早めに出勤して掃除を開始する。 神崎君も昨日は遅かったので、今日は早めに帰ってのんびり出来たらいいなと、人の心配までしつつカフェオレを買って喫煙所に向かった。 戻って暫く作業をしていると、開店の音楽が鳴り店頭に出てお迎えをする。 ウィンドウのDPは昨日の反応が良かったので、昼辺りまで持ち越しして様子を見る事にした。 「おはようございます」 神崎君がキャリーバッグを持って店内に入って来る。 「おはようございますって早くないですか?」 「昨日は有難うございました。僕は真面目なんで早く来たんですよ」 荷物をストックに置くと拓斗の事をいい方だと褒められ、私には勿体ない人だと伝え書類を纏めていた。
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