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「余計な事の前に、今結婚して後悔しないのかを考えて欲しい。仕事でスキルアップのチャンスなのに勿体ないなぁ」
「すみません、こんな事話してしまって」
「事後報告よりは、相談してくれた方がこちらも嬉しいですけどね。決めてしまってからじゃ遅いし」
「でも私、結婚したいので……退職すると思います」
神崎君は素スプーンの手を止め、新店の店長を任せたかった事や、エリアを見てもらうようになればと期待もあったと残念そうに言われてしまった。
「もう少し付き合ってからでいいんじゃない?無理って思うかもしれないよ?」
「私の婚期を遅らせるつもりですか?」
いくら会社といっても、個人のプライベートのまでは口出し出来ないと思いあえてそんな言い方をする。
「でも今のままじゃ結婚難しそうだし、遅れから俺貰います」
こんな時に何を言い出すのかと思い、ため息と共に「冗談は止めて下さい」と呆れ気味に答えた。
「俺冗談のつもりじゃないし、貰う時は不安は取り除いておいてあげますよ」
「…………」
どう返事を返したらいいか分からなくなり、俯いてしまう。
「仕事中は切り変えされると思いますが、休みの日は一度彼とゆっくり話してみて下さい」
それからはお互い食事に集中していたがポツリと「女性って現実的な事で悩むんですね」
と笑いながら言われてると頬が熱くなり、飲み物を口に含んで誤魔化した。
「その現実的な考えだと、仕事が順調な今結婚に後悔はないですか?佐々木さんは楽しみながらやってるんでしょ?」
何とも答えにくい質問でグッと言葉が詰まる。
確かに悩む理由の一つだが、拓斗となら結婚を選んでもいいと思えるけど後は経済的な面で負担になるなら、もう少し働く方がいいかなと迷っている。
店に戻り遅番の子に休憩に行ってもらうと、新店の件も含めて考えてそれでも結婚という決断になるなら仕方がないと付け加えられた。
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