第1話

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第1話

「どうしたの突然?」 不意に言われると焦りも出て疑問形になってしまう。 「俺メイと結婚して二人で暮らしたいって考えてて。メイも仕事あるからすぐには難しいと思うけど、結婚って事を意識してみてほしい」 「――うん」 こんなにサラッと言われるとは思ってなく、実感も湧かずに瞬きの回数が増えていた。 「プロポーズ受けた人の反応に見えないけど、俺じゃイヤ?」 「そんな事ないよ、急で驚いてるだけ。私なんかでいいのとか色々頭に浮かんできて……」 「メイがいい。まずは考え貰おうと思って早めに伝えたけど、明後日休みだよね?明日で俺も制作終えるから連絡するね?」 頭をポンポンとされ何となくホッとして車を降りようとすると呼び止められる。 「俺達結婚するでしょ?」 返事を考える予定が、今になってると思いながら「すると思う」と答えてしまう。 「良かった、少しホッして帰れる。俺メイと結婚したい!」 「私も同じ気持ちだよ」 キスをして彼が帰ると、急に現実味を帯びてきて階段を上る足がおぼつかない。 『結婚してって言われた……』 シャワーを浴びながら、嬉しいような怖いようなが入り混じった気持ちで、今までにこんな考え事をするのは初めてかもしれない。 でも拓斗とはずっと一緒にいれたらいいなと、ぼんやり思っていたのは事実だ。 付き合いだして後々結婚……になればという願望もあった。 だけどこんなに早く来るとは正直考えていなくて、お互に仕事もしているし、私も今は凄くいい状態で仕事に取り組めている。 将来的にスキルアップしてマネージャー職にもチャレンジしたいと密かに思っていたが、結婚すると販売職自体が結構キツくなってくる。 シフト制なので早番と遅番の終わる時間は全然違うし、それから家事等していると自分の負担も大きい。 尚且つ土日は休みにくいので、家庭に入ればいいのだけど、もう少し働きたいが本音なんだと思う。 独身の間に納得いくまで働いてみたいと思い、前の彼と別れてもすぐに次の人が欲しいにならなかった。 でも拓斗と付き合いだしてからは、仕事も楽しいけど二人で一緒に過ごしたいという気持ちが大きくなっているのもある。 今までこんな気持ちになる恋愛をなんてなかった気もするし、逢う日が楽しみで色んな一面も見せてくれる。
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