第1章

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「何それ、なんかしっかりしてる。てかサンタクロースの元締めってそんな名前なのか。で、どんな内容なの?」 「内容はこれからクリスマスにプレゼントを私たちが届けに行く際に、家へ入らせてもらう許可書とサンタクロースの存在が明かさないという守秘義務といったものがあります」 「じゃあ存在を明かさないために実際は親がサンタクロースってことになってるの?」 「そうなりますね」 みんな優しすぎだろ。なんて良い社会なんだ。 「なるほどね。じゃあ最後に、研修中って言ってたけどこれはどういうこと?」 僕はこのサンタクロースと出会ってから質問しかしていないように思う。まあ仕方ない。 「それはさすがに言えません機密事項なので。すみません、もうこのぐらいでよろしいでしょうか?」 「言えないのか、まあしゃーない。どうもありがとうございました」 僕はわざとらしく大きく礼をした。親にもこのぐらいしか言ってないってことか。 「じゃあ私はこれで失礼します。今聞いたことは絶対言わないで下さいよ、お願いします」 本日3回目の土下座を披露されかねなかったのでわかったわかったとすぐさま答え、サンタクロースは軽く会釈をすると空に飛んでいった。 それから今日一日はいつも以上にボーっとしており、授業の内容も頭に入ってこなかった。早起きは三文の徳と言うが、僕は得した気分にはならなかった。 それからはあっという間に下校時間となり、学校で友達と別れて家に帰った。 そういえばいろいろと説明してくれたが、最初に会ったときあいつはサンタクロース総会からの研修中に僕の学校でサボっていたということになるのだろう。 そして、僕はすぐに台所にいる母さんに今日あったサンタクロースのことをすべて告げた。
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