第2話

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部屋に入ると早速シャワーをして、髪も洗いお手入れを済ませる。 部屋着に着替えコンビニで買ったサラダを食べようと冷蔵庫から取り出す。 「これ食べたら髪乾かして、解約の手続きに行こう……」 家から徒歩10分程度の場所にショップがあり、近くにバス停もあるのでそこから実家に戻る事にした。 支度をしながら鏡を見ていると、腫れは引いたものの何となく覇気がない顔をしている。 少しでもテンションを上げる為、お気に入りの服で行こう。 シンプルだがデザイン性のあるカットソーと白いパンツにカラーパンプス。 涼しさも感じられるし、大人ッぽく見える所も気に入っているが、念の為顔を隠すハットも被っておいた。 日傘を差してお店へ向かうと、駅とは違い比較的空いていた。 解約と同時に新規申し込みもするので、店員さんの顔は「?」だったが、新しい機種にデータを入れてもらい手続きは完了した。 箱が結構かさ張るので、一旦家に荷物を置いてからにしようとバス停と逆方向に歩き始めた。 家に着くとスマホの設定をし、知り合いに変更した知らせを送ったが、勿論神崎君にも忘れずにメールした。 「これで一安心かぁ……」 簡単な説明書だけバッグに入れて、階段を降り入り口を開けると、黒い大きな高級車が横付けされていた。 前を通り過ぎようとすると、後部座席のウィンドウが開いてノブちゃんが顔を覗かせた。 私は目を丸くして「えっ?!」と声を上げてしまったが、どうしたらいいのか分からずその場から動けなくなる。 「メイちゃんおはよう、ちょっと隣に乗ってくれる?」 ゆっくりと開かれたドアに導かれるように黙って隣に座った。 「嫌な思いさせて本当にごめんね、渡部から全部聞きましたよ」 そう言われるだけでまた目頭が熱くなりそうで、下を向いて「いえ」と答えるのが精一杯だった。
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