第2話

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「――逢いたいですか?」 「いえ、今はどんな顔して逢えばいいのか分かりません」 逢っても私の中で気持ちの溝が出来てしまってるし、話をしても平行線を辿りそうなので、今はこのままの方がいいかもしれない。 「じゃあ、何処にいるかコッソリ探ってみましょうか」 「――えっ?」 ワクワクした顔のノブちゃんの意思が伝わってるのか、運転手さんは車を止めてスマホを取り出し誰かに架けているようだ。 『私以外の電話は一応出てるみたいなんで』 子供が遊んでるように興奮してヒソヒソと耳打ちしていたが、どうやら自宅には居ないようだ。 「はて、何処に向かったのやら」 念の為、拓斗の家に荷物を置いたままだとノブちゃんに伝えると、いないみたいだし回収しに行きますかと聞かれたが、さすがに今すぐは怖い。 「大丈夫、この車に乗っているとは思いませんし家には私が入ります」 「では……お願いします」 と、何故か拓斗のお父さんと彼の自宅に向かう事になっていた。 「荷物がそのままだと困るでしょ?」 確かにそうだけど、黙ったまま取りに行くのは気が引けるので、まだ捨ててもらった方がマシな気もした。 「大した物入ってないので処分して貰って構わないんですけど」 「う……ん、何が入っていたのですか?」 「着替えとメーク道具類やスキンケアぐらいです」 また買えば済む事だしこっちが勝手に去ってるのに、そこまでして取りに行きたいとも思わない。 「では、私が全部新しい物を買い揃えましょう」 「いえ結構です!――そこまでして貰うと本当に困ります」 「でもメイちゃんを傷つけた原因は私にありますし、勝手に揃えてもいいですが好みもあるでしょ?なので一緒に選びませんか、アヤツの家は部屋の状況だけ見に行きましょう」 ノブちゃんは探偵ごっこみたいな気分でワクワクしていたが、私はどんよりした気分になっていた。 山道を過ぎ拓斗の自宅が見えてくると、門を入り家に近づいたが、車が変な止め方になっていた。 「あれ、車ありますね。しかもあの止め方だと、相当荒れてるんでしょうか……プククッ」 笑いを必死に堪えているが、一刻も早くこの場を去りたい私は焦った声でノブちゃんに引き返そうと迫った。
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