第2話

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速度を緩め振り向くが誰もいないし、バッグを持って来たのでスマホからノブちゃんにも連絡できる。 でも今は息苦しいので、少し歩いて呼吸を整えようと思った。 急だったとはいえ、我ながら忍者のような軽快な走りだったし、体操部で鍛えておいて本当に良かった。 酸欠状態の頭の回転はこんな事しか考えられず、下り坂が続くので足が引き寄せられるように自然と前に出るが、大股で歩く感じになっていた。 車の時とは違い一人で歩くには少し心細い雰囲気だ。 目の前に広がる景色を見ながら進んでいると、微かに『タンタン』と遠くから下ってくる足音が聞こえた。 ギョッとして振り返るが、カーブになっているのでよく見えないのでまた走り出す事にした。 『マジで怖いんですけど!』 足音を立てないよう細心の注意を払い小走りを心掛けるのは、音が響いてこだまし、居場所がバレないようにする為。 ノブちゃんから連絡もないしこのまま逃げるしかないのだろうか。 汗も出てきたし呼吸も乱れパンプスでは走りにくいので、裸足になりたい気分だった。 『ちょっと隠れる場所はないかな』 キョロキョロしながら走っていると、少し小高くなっていて山林に入る場所を見つけた。 そこに登って茂みに座れば、道路からは見えない気がし、迷わずそこまで駆け上がり身を潜めた。 少し様子をみたが誰も来る気配はないので、もしかすると勘違いだったのかもしれない。 草むらに移動しパンプスを脱ぐと仰向けに寝転がってみると、足と身体がひんやりして気持ちがいい。 ここなら隠れるには十分だし、スマホをバイブ音に設定して手に持つと、目を閉じたがジャリッという音に動きが固まる。 「死体発見……」 と聞こえ、大人になって久々に悲鳴を上げてしまった。 「化け物扱い……酷い……」 ハァハァと肩で息をし目の前に拓斗がいる。 両手を膝に置いて息を整えているようだが、前髪はダラッと下がっていて表情は見えないが、慌てて起き上がってもここから逃げるのは無理だ。 「そんな……本気……で走らなくても良くない?」 しゃべり始めた彼はかなり息が辛そうだったが、微妙に後ずさりをしながら見つめているしかなかった。
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