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「キミは宝物のロボットをみんなに見せようと幼稚園に持って来ていて、トイレから戻った時、頭が取れたロボットを見て、キミは大泣きだった」
儂は下唇を噛み締めると、締め付けられるような気持ちで打ち明けた。
「あれ、壊したの儂なんだ」
もはやカズ君の顔を直視できず、視線を教卓に落とす儂。
「儂、あんなの買って貰えなくて、羨ましくって、誰も見ていない隙に乱暴に動かして……」
喉の奥に引っ掛かっている言葉を、必死に絞り出し、口にしていく。
「ずっと、言い出せなかった。嫌われるんじゃないかって怖かった。だから、最後まで、これが言えなかった」
儂はすっかり禿げ上がった頭頂部をカズ君に向けた。
「ごめんなさい。カズ君」
するとカズ君は、花が咲いたように笑った。
「やったーっ。やっと言ってくれた。これでボクらずっと、友達だね!」
その無垢な笑顔につられ、儂まで顔が綻んでくる。
そうか……キミは全部知っていて、それでも儂と仲良くしてくれていたんだね。
ありがとう。キミは本当に優しい子だ。
カズ君が椅子に腰を降ろすと同時に、今度は三人の男子生徒が立ち上がった。
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