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男の子は後ろを向いている為、顔は見えませんが、背の低さから下級生だと伺えます。
おまけに季節は夏だというのに、何故か冬用の体操服を着て紅白帽子を被っていました。
女の子は不審に思いながらも、一応声を掛けてみました。
「ねえ。ここ、六年生の教室だよ?」
「…………」
「帰らないの?」
「…………」
一向に口を利かない男の子。無視された事により女の子はややムッとしましたが、本来の目的を思い出し、自身の席に向かいました。
さっそく机の中に手を突っ込み、目的の物を探し始めます。しかし、その指先に当たる物は何もありません。
変に思い中を覗くと、空っぽでした。
女の子は首を傾げ、確かにこの中に入れてあったハズだと疑問を抱いていると、
「ねぇ」
小さな声が、耳に届きました。
女の子はすぐにその声がした方、つまり男の子に目を向けました。
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